毎年、新しく13,600人の方が子宮体がんにかかり、2200人の方が亡くなっています。
子宮体がんは40~60代以上の女性に多く、多くは「子宮内膜」という生理のときに厚くなってはがれ落ちる部分、いわゆる生理が起きる場所から発生するガンです。今回は、子宮体がんについて詳しくご説明します。
90%の子宮体がんの患者さんに不正性器出血があります
生理が起こる場所にガンができるため、症状として
・生理でないときに出血がおこる (不正出血)
・生理が終わった(閉経)後に出血が続く(閉経後出血)
・オリモノに血が混じる (褐色帯下) などがあります。
現在、女性全員に子宮体がんの検診は勧められていません。
不正出血やオリモノの異常がある人に対して、産婦人科で子宮体がん検診をおこなっています。
上のような症状があるときは、そのままにせずに産婦人科を受診してください。
子宮体がん検診の方法
子宮体がんの検査では、子宮の中から細胞をとってくる必要があるため、
子宮の奥までブラシやチューブを挿入します。
そのため検査のときに痛みがあります。
診察ではスカートか脱ぎやすい靴とズボンで行くのがオススメです。
診察の前にトイレにいった方が検査がしやすくなります。
1. 内診台に上がっていただきます
2. 経腟エコー検査(腟に挿入するエコー)をおこないます
子宮内膜の厚さをチェックします。
子宮内膜が厚いとがん細胞が隠れていることがあります。
3.クスコ(膣鏡)という器械で腟を広げます
4.子宮の中にブラシやチューブを挿入して子宮の中から細胞をとります
5.内診をおこないます
<くわしい説明>
生理のある女性(12~50才)では、不正出血と思ったら実は妊娠していたり、性感染症だったりすることがあります。生理と生理の間に出血がある場合は、妊娠検査やクラミジア・淋菌の検査を行うこともあります。
生理が終わった方(閉経後)では、生理の場所であった「子宮内膜」は薄くなっています(通常4mm以下)。
エコー検査で子宮の内膜が厚い場合、その中にガンが隠れている可能性があるため、細胞をとって子宮体がん検診をおこないます。また、乳がんに対してホルモン治療(タモキシフェン)をされている方、更年期症状に対してホルモン治療をされている方も、内膜が厚くなることがあり子宮体がん検診をおこないます。
参考文献
・子宮体がん 国立がん研究センター
https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/index.html
・子宮体がんについて 婦人科腫瘍学会
https://jsgo.or.jp/public/taigan.html
・子宮体がんとは 日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=11
■イラスト■ 春柴 https://www.instagram.com/harushiba0510a/
■イラスト■ とおやま たかし https://twitter.com/TakashiTohyama
■監修■ 柴田 綾子
淀川キリスト教病院 産婦人科医
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