赤ちゃんのお世話にイライラやストレスを感じたら

『カラダも本調子じゃない上に、抱っこであちこち痛くなるし、寝不足もつらい。』

 

お産はママの心と身体にとっては、今も昔も一大事、体も心も疲れています。
そんなときに育児で眠れなかったら、イライラするのも、カリカリするのも当たり前。

パートナーに強く当たっちゃうことも、よくあります。

でも、ずっと気持ちが切り替わらずイライラが続いたり、自分を責める気持ちや涙が溢れてくるようなら、

マタニティブルー(注)のせいかもしれません。

赤ちゃんのお世話にモヤモヤやイライラを感じたときの対応についてご紹介します。

*正式には「マタニティブルー」と言います。この記事では一般的なマタニティブルーを使用します。

 

「疲れている」、「手伝ってほしい」と周りに伝えよう

24時間つづく育児、夜泣きで眠れない、そんな時は何でも悪くとらえて、かえって気持ちを追い込んでしまいがちです。育児の苦労や大変さは、相手も悪気はないのですが周囲に伝わりにくいもの。

「疲れた」、「休みたい」、「代わって欲しい」と堂々と周囲に伝えましょう。

パートナーの帰宅が遅い、親の手伝いがないなどの場合は、パートナーに行政の育児支援サービスを探してもらいましょう。ネットでも検索できますが、家族の手が足りないママだけが使えるサービスなどもあるので、母子手帳をもらった地域の保健センターに電話すると教えてくれます。

 

もしかして、マタニテイブルー?

マタニティブルーは、産後3~10日の間に起こる情緒不安定な状態です。

産後のママの10人に3人が経験するといわれています。

お産後に、「涙もろくなる」「訳もなく不安になる」「気分が落ち込む」などを症状がでた場合、

マタニティブルーの可能性があります。
マタニティブルーの多くは、2週間以内に自然に改善しますが、

2週間経っても情緒不安定な状態が続く場合は、お産をした産院、地域の保健センターに相談してください。

 

【お願い】 パートナーや家族の方にしてほしいこと

お産は、24時間~36時時間かかるマラソンのようなハードなできごとで、

仕事でいうと、連日徹夜して大きなプロジェクトを終えたあとの状態です。
お産後のママの心と体はとても疲れており、周りの人の助けが必要です。

1.家事の負担をなるべく減らす
赤ちゃんのお世話だけでもとても大変です。
家事はできる限りしなくていいように減らしましょう。
パートナーや周囲の方で買い物、食事の準備、洗濯、掃除をぜひ分担してください。

 

2.会社から早く帰宅して子供のお世話を手伝う
赤ちゃんは、お腹が減ったり、おむつが濡れていたり、眠たくなると泣きますが、

それ以外でも、機嫌が悪くなり泣き止まないことがあります。
泣いている赤ちゃんを見ていると、母親はとても不安になってきます。
夜遅くまで赤ちゃんとママだけにしないようにしましょう。

3.ママが休める時間をつくる
夜の授乳はパートナーや家族が担当したり、週末は赤ちゃんのお世話を交代するようにしましょう。

ママが子供のお世話から解放されて、しっかり休める時間をつくることが大切です。
育児は24時間365日気が休まらず、ママの気持ちは張り詰めた状態になっています。
家族の手が足りない時には、ベビーシッターや子供の一時預かりサービス等(後述)も活用し、

ママが赤ちゃんのお世話から解放される時間を作りましょう。

 

4. ママの話を聞こう
子育てには、正解や答えがなく、「本当にこれで大丈夫だろうか」という不安が次から次に押し寄せてきます。1日中赤ちゃんと一緒にいると、気持ちも張り詰めて休めません。
1日の終わりに「今日どんなことがあったのか」、「どんな事が大変だったか」、

ママの話を聞いて育児の情報を共有してください。

愚痴や不安は、話を聞いてもらえるだけで楽になることも多いです。

 

 

こんな症状があったら要注意!

マタニテイブルーの中には「産後うつ」に進んでしまうものがあります。産後うつは、自分自身では気がつきません。下のような症状が続いている時は、お産をした産院、地域の保健センターなどに相談してください。

 

1.自分を責めてしまう
上手くいかない時に自分の責任だと感じる
母親として失格だと感じてしまう

2.理由もなく強い不安に襲われる

3.寝られない
赤ちゃんが寝ているのに自分は眠れない
布団に入っても寝付けない

4.笑うことができない
理由も無いのに泣けてしまう
自分が惨めに感じる
楽しみや笑う気持ちが無くなってしまう

困ったときの相談窓口はこちら

・子育て支援センター:市町村役場
妊娠中~産後~子育て中の色々な相談ができる施設です。市町村役場を中心に設置され、

育児支援に関する情報が集まっています。全国で1400箇所あります(平成30年4月時点)。

・保健師さんに相談する
①新生児訪問を利用する
赤ちゃんが生まれた家庭を助産師・保健師・看護師さんが訪問して相談を受けてくれる市町村のサービスです。

母子手帳をもらった市町村役場にお問い合わせください。

②保健センターに相談する
保健師さんに育児や母乳などの相談ができます。お住まいの市町村の保健センターに電話してみてください。

・子育て・女性健康支援センター
助産師さんによる電話相談。全国に拠点があります。
公益社団法人日本助産師会 http://www.midwife.or.jp/general/supportcenter.html

・子育て・思春期・更年期 女性のあらゆる相談室〔無料電話相談〕
助産師による無料電話相談です。毎週火曜10am~16pm
公益社団法人日本助産師会 http://www.midwife.or.jp/general/consultation.html

・産前産後の電話相談: 健康科学大学産前産後ケアセンター ママの里
山梨県産後ケア事業運営事業者の電話相談です http://www.kenkoudai.ac.jp/sangocare/guide/115

・子育てホットライン ママさん110番(無料)
社会福祉法人 日本保育協会HP 右側バナーより紹介があります。 月曜~金曜 10am~16pm

http://www.nippo.or.jp/

 

産後に利用できるサービスはこちら

・産後ケア施設
産後のママがゆっくり休めることを目的とした施設です。
全国の施設一覧表があります:https://sango-care.jp/convalescence/
一般社団法人 日本産後ケア協会HP

・子どもの一時預かりサービス
厚生労働省がガイドラインに適合したマッチングサイトを紹介しています。
子どもの預かりサービス:https://matching-site-guideline.jp/findings.html

・産後ドゥーラ
自宅まで来てくれ育児や家事のお手伝いをしてくれるサービスです。
一般社団法人 ドゥーラ協会HP: https://www.doulajapan.com/

 

24時間つづく赤ちゃんのお世話、夜泣きで眠れない、そんな時は何でも悪くとらえて、かえって気持ちを追い込んでしまいがちです。育児はとても大変なものですが、その苦労はなかなか周囲に伝わりにくいものです。

「疲れた」、「休みたい」、「代わって欲しい」と堂々と周囲に伝えましょう。

 

参考文献
1.堺市,産後のこころの健康,平成29年
https://www.city.sakai.lg.jp/kenko/kenko/hokencenter/kenkocenter/kokoropan.files/sangonokokoronokenko_2903.pdf?fbclid=IwAR30Vl8KdcnEHm9FPPKjxmfqKP7_qjy71AhZPuITuS8QorxmRk9Gn7XJvQM

2.日本女性心身医学会,マタニテイブルース
http://www.jspog.com/general/details_39.html 

3. 日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会,産婦人科 診療ガイドライン~産科編2017
産褥精神障害の取扱いは? p239~
 http://www.jsog.or.jp/modules/about/index.php?content_id=16

 

■イラスト■ 春柴

■執筆アドバイス■  齋藤 宏子  帝京大学大学院公衆衛生学研究科公衆衛生学

■執筆■ 柴田 綾子

淀川キリスト教病院 産婦人科医

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